虫歯治療について
虫歯の原因
原因は様々ありますが、決まったパターンで起こると考えています。
私たち歯科医は、毎日多くの患者様の口腔内を拝見する中で、私たちが考えている虫歯と患者様が考えている虫歯に、大きなギャップがあるという事を感じます。
ちなみに、成人において今まで治療した形跡がない歯の虫歯治療と、過去に治療した形跡のある歯の再治療とが、1日の診療の中で考えれば99%の割合で後者の方が多いです。(個人的な感覚ですが)
つまり1度手を加え始めた歯は、いずれやり直す可能性が極めて高いという事です。
虫歯の痛みについて
虫歯病原菌(ミュータンス菌など)が口の中の糖を利用して「酸」を作ります。
その酸によって歯の表面が溶かされていくことにより、痛みが発生します。
虫歯は自然治癒で元の歯の状態に戻ることはありません。
そのため、虫歯病原菌に侵された部分を取り除いたり、溶けた部分を詰めたり、かぶせ物をしたりして治療します。
痛みが無ければ虫歯じゃない?
多くの方は痛みが無ければ虫歯じゃない!と本気で思っています。
同時に一度治療したところは完治している!と本気で思っています。その思考こそが典型的なパターンだと考えます。
痛くなった虫歯というのは重症ですので、治療は大掛かりに。
しかし痛みが出ないうちに対処できる虫歯については、いろいろ選択肢が広がります。
大掛かりな治療はしたくないと思いながらも、痛くならないと歯医者に行かないという状況が、虫歯を重症化させる最も大きな原因だと考えます。
「痛くない」への取組み
やはり歯医者さんが嫌がられる原因の1つに麻酔があります。
言ってしまえば、治療中の痛みを取り除く行為が既に痛いという本末転倒な行為になります。
当院では、表面麻酔を置く時間を管理し、なるべく痛みを感じない刺入ができるよう心掛けております。
また電動の麻酔器がありますので、薬を流し込んでいる最中の圧力が調整できますので、痛みも軽減することが出来ます。
どのタイミングで削るか、経過観察の考え
歯の健康寿命を延ばすための最も重要な事は、1本1本の歯の神経を残すことだと考えております。
逆に言うと、神経さえ残せればある程度長持ちするという事です。
ですから当院においては、出来る限り神経を殺さずに治療を進めていく事を第一に考えます。
もちろん我慢を強いるつもりはありませんので痛みが出てしまった場合には神経を取ります。
かなり重症で神経ギリギリのケースも、出来る限り神経を保存する形にしたいと思います。
虫歯の進行レベルについて
C1(虫歯の初期)
歯の表面のエナメル質が溶け始めた段階の虫歯です。 痛みがなく、ついつい放っておきがちです。 虫歯の部分だけを正確に治療し合成樹脂(レジン)を充填します。
C1(虫歯の初期)の治療方法
虫歯初期の段階では、小さな詰め物をつめる治療を行います。
C2(虫歯の中期)
歯を長持ちさせるコツは、神経を残すことだと考えております。ここでブレーキをかけていかないと、再治療になった際に神経を取る治療になってしまう可能性が高まります。神経を残して治療できるのもここまでですから、非常に大切なステージだと考えます。
痛みも無く、ここまで虫歯が進行していることは普通にあります。つまり痛みが無いうちに早期発見、早期治療に移れれば良いという事です。
C2(虫歯の中期)治療方法
部分的な被せ物をかぶせる治療を行います。
C3(虫歯の後期)
治療が出来る最終ステージだと考えます。神経を失った歯は、同時に血管も失っている為、栄養が行き渡らなくなります。従って時間が経つにつれ劣化が進み、いずれ根っこが割れてしまいます。そこまで行くと俗に言う「差し歯」というのが出来なくなりますので、抜歯を考えざるを得ない状況へと発展していきます。
C3(虫歯の後期)治療方法
虫歯が神経まで達してしまった場合、神経を抜いて冠を被せる治療を行います。
C4(虫歯の末期)
C4(虫歯の末期)治療方法
根っこが膿んだり割れたり、ここまで進行してしまうと最終的に抜歯という判断をせざるを得ません。